WEBサイトを作りたいという企業の迷宮
ファーストクエスチョン
前職時代から含め「WEBサイトを作りたい」というクライアントに何百社とお会いしてきた。そしてその要望に対して、最初に発する質問は20年以上前から変わっていない。「何のため?」である。
インターネット黎明期に比べ、最近その比率は減ってきたとはいえ、いまだにこの最初の質問に明確に答えられないクライアントがたくさんいるのが残念な現実。WEBサイトの価値がいまだその程度の認識でしかないことの証明であろうかと考える。
セカンドクエスチョン
例えば「新規顧客を増やしたいから」「売上増のため」「来店客数を増やしたい」というような回答をしてくれる企業がいる。そういう場合の次の質問は「なぜその目的達成の手段がWEBサイトなのか?」である。そのような目的達成のための手段は他にもたくさん存在している中、なぜWEBサイトを選んだのか、ということである。
普通に考えて、その他の手法も検討すべきだろうし、その上でWEBサイトを選ばれているのであればいいのだが、何となくWEBサイトありきで話が進んでいる場合が往々にして見られる。
新工場を建てたい場合
例えば「新工場を建てたい」という企業が、具体的な目的や目的もなく建てたりするだろうか。外注だったりOEMだったりという、新工場を建てなくても済む選択肢を考えもせず話を進めたりするだろうか。恐らく否ではないだろうか。
製造ラインを1つ増やすための新工場を建設すれば、生産能力が30%アップし、現在の受注残量からすれば増産分が製造過多に陥る可能性は低く、工場建設費用の10億円は5年で回収見込みである。外注による品質保持の難しさは過去の経験から明確であり、人的問題や調達の問題が残るが、現状ではリスクを負ってでも新工場建設は推進すべきである…。というような綿密な計画が立てられているはず。
もちろんWEBサイトと新工場を同列に考えるのは無理があるのはわかるが、明確なコンセプトや詳細な計画を立て、そこに存在するリスクまでも洗い出した上で取り組まれている企業は、正直極僅かである。
何が問題なのか
それの何が問題かと言えば、いや問題はたくさんあるんだが、たとえば予算である。例えば制作会社が出してきた100万円という制作費が高いのか安いのか。どのような基準で判断するのだろうか。
WEBサイト開設により初年度で新規顧客獲得10社、次年度以降20社を見込み、売上ベースで年5,000万円の増加を目標としているのであれば、そのコストが100万円なら安いものだろう。しかし、具体的な目的も目標もない状態でいきなり100万円の支出となれば、いくら大手企業だとて容易に出せる額ではないはずである。
たとえばということで予算の話をしたが、一事が万事そういうことである。
Gigabaseの存在意義
私がクライアントとのミーティングでそのような質問を行うのは、目の前のプロジェクトの問題点を炙り出すことだけではなく、それらを解決するにはどうすべきか。どのような目標を定めるべきか。そして目標達成にはどのようなWEBサイトだったりシステム構築だったりが必要なのかを一緒に検討していくためである。
当然だがWEBサイトの新規開設だけでなく、既存サイトのリニューアルでも同じことであり、社内システムの開発についても同様である。
もちろん制作会社に丸投げしてもそれなりのWEBサイトは出来上がるだろうが、効果が見えにくく、業績に貢献しているのかどうかもわからないものではダメだろうと思うわけで。まあそんな面倒なことは不要だという企業にとっては、恐らくGIGABASEも不要だと思われるので、この話は聞かなかった、読まなかったことにしておいてもらっても問題はないだろう。