【経営に必要な力とは】企業ステージごとに考えてみる

世間では「経営力」という言葉が使われることも多々あるが、経営にはいろいろな力が必要であり、何もかも一括りで経営力と言ってしまうと、必要な能力の本質が見えなくなってしまうのではと懸念する。経営はビジネスに限った話ではなく、事業の目的を達成するための意思決定や行動であるから、企業だけでなく団体なども含まれるが、話がややこしくなるのでここでは企業におけるビジネスについて考える。
経営に必要な能力は、企業がどのステージにいるかによって大きく異なる。細かく分類するとキリがないので大きく4つに分けてみる。
①創業期:0→1
②成長期:1→10
③安定期:10→10
④終焉期:10→0

①創業期に必要な「行動力」

一般的に起業には発想力や着想力が必要と思われることも多いが、本当に必要なのは行動力である。奇抜なアイデアであろうが、ありふれた事業であろうが、行動が伴わなければスタートしないのである。
だがそこには当然大きなリスクもあり、相当な覚悟がなければなかなか起業には踏み切れない。逆に言えば、リスクを取る覚悟と行動力さえあれば、意外と起業なんて簡単に出来てしまうとも言える。

②成長期に必要な「発想力」

立ち上がった事業を成長させたくて、夜の昼のない状態で頑張る経営者も少なくないが、正直、行動力だけで伸ばせる範囲は高が知れている。とりあえず食べていくために頑張ることも必要だが、大きく成長するには発想力が必要。
元々が奇抜な事業で、類似としても前例がないのならともかく、そうでなければ他と同じことをやっていても伸びる幅は大きくない。例えば新製品開発だったり、営業手法の改革だったり、新しい宣伝方法などの発想力が大事になってくる。

③安定期に必要な「調整力」

どれだけ急成長した事業でも、どこかの段階では横ばいに移行する。だが横ばいならいい方で、下手な経営だとそこからズルズルと果てしなく落ちていってしまう。そうならないためには調整力が大事になってくる。
人と人の調整、機械化とコストの調整、拡大とリスクの調整、意欲と対価の調整などなど、回っているはずのビジネスに滞りが発生していないか、円滑に回っているのかを常に注視し、必要に応じて先手先手で調整していく力である。

④終焉期に必要な「忍耐力」

衰退期でも同様ではあるが、ここでは事業の終わりを滞りなく無事迎える力のこと。終わりよければ全て良しというように、事業の終わり方を間違うと関わった人全てが不幸になってしまう。
ある意味全てのステージの中で最も難しい経営を迫られる。罵詈雑言を浴びせられる可能性もあるし、最悪は私財や私産まで失いかねない。それでもなお心を強く持ち、荒波に揉まれる忍耐力。終焉期にこそ必要な力であろう。

全てに共通の力

もちろんここに書いてる能力が全てではないし、能力があっても発揮できる環境でなければ意味がない話ではあるんだけど、経営の経験者であれば、異論反論はあったとしても概ね同意してもらえるんじゃないかな。
あ、そうそう。全てのステージ共通で「決断力」が必要なのは言うまでもないのであえて書いてない。選択肢が正しかろうと間違っていようと、この道に進むんだという決断、そして決断する力は経営に最も最も重要な能力かもしれないな。