ユーザ目線の勘違い
自社商品やサービスを評価する際、ユーザ目線というのは非常に大事なポイントである。自分目線だけで商品開発したりサービス構築すると、独りよがりになりがちだというのはよく知られていると想う。実際クライアントと話をしていると、ユーザ目線での意見や感想が出てくるのだが、ちょっとズレてるなと感じることがある。わかりやすい事例として、YouTube動画を考えてみる。
ユーザ目線に立ったはず
企業がYouTubeへ取り組む場合、一般的には自社商品やサービスを動画でプロモーションしたり、企業イメージや知名度の向上を目指すという目的が狙いが多いのだが、よく出てくるのが動画の尺(長さ)についての意見である。
「長い動画は見てくれない」というもの。一見、ユーザ目線に立った意見のように思えるが、実はそうではない。ここでいうユーザとはYouTubeの視聴者であるはずなのに、頭の中からYouTubeというキーワードが抜け落ちているのである。
例えばセミナーや研修会などで、10分や15分という動画を見せられ、長いなぁと感じたことがあるのは私だけではないはず。その感覚で動画を見るから長いのはよくないと感じてしまうのである。
要するに、自ら望んで見る動画と、半ば強制的に見せられる動画を混同しているわけだ。YouTube動画の検討をしているのに、セミナーで動画を見せられているユーザ目線に立ってしまっているのだ。
実際、自分がYouTube動画を見る時のことを考えてみよう。たとえばおすすめとして紹介されているたくさんの動画を見て、尺が長いか短いかで、見る見ないを決めたりしているだろうか。まぁ中にはいるかもしれないが、普通は興味あるテーマかどうかで選んでいるはずである。
だってYouTube動画なんて面白くないと思えば、開始5秒でも止めてしまえばいい訳だし、長くて見切れないと思えば一時停止して後で見ればいい訳で、尺なんて気にする必要は全くない。
ユーザ目線に立つということ
今回はYouTube動画を取り上げて説明したが、似たような状況はよく見かける。例えばZ世代ターゲットなのに異なる世代のユーザ目線だったり、例えば富裕者層対象なのに主婦目線だったり。
「ユーザ目線に立つ」というのが大事なことはよく知られていることだが、意外と簡単なことではない。自分が立っている位置が、本当にターゲットとしているユーザ層のものなのか、独りよがりになっていないか、今一度見直してみることが大事だろう。