レジ袋の有料化で誰が得をするのか

レジ袋の有料化を目前に控え、専門家と見られる方々から「いや実はレジ袋って意外とエコなんだよ?」みたいな記事や投稿をちらほら目にするようになってきました。議論されてる最中ではなく、なぜ間際の今なんでしょうね。
ところでレジ袋が有料化されるというと、環境問題云々が出てくるのは当然ですが、有料化ってことはお店にとってレジ袋が売上対象商品となるわけです。では有料化されたレジ袋の売上はどれくらいになるのか、計算のしやすいコンビニでシミュレーションしてみましょう。
シミュレーション
●シミュレーションデータ
・日本チェーンストア協会加盟のコンビニは55,820店(12月末)
・全店の来店客数は174億5,871万人
・有料化実験店舗では3割の人が有料レジ袋を利用
・コンビニの有償レジ袋は3円あたりが平均
●計算式
来店客数×有料レジ袋利用率×平均レジ袋価格=レジ袋総売上
174億5,871万×3割×3円=約157億1,284万円
上記シミュレーションでは年間でレジ袋代が157億円もコンビニ各店へ入ることになります。
もちろんレジ袋にだって仕入れ代金が必要ですが、これまでも仕入れた上で無償提供していたわけですからそれは同じこと。要するに何も新しいことをしなくても、黙っていても年間157億円もの売上増となるわけです。店舗数で割ると、1店舗あたり約28万円の売上増。
言うまでもありませんが、これはコンビニだけの計算。スーパーだとか百貨店など、大型だろうが小型だろうが小売業全店舗が対象ですから、年間でどれだけの売上増となることか。だって今まで無料だったものがいきなり有料ですから、売上増どころか利益増にならないわけがありません。
当然店舗の売上や利益が上がれば、税収だって増えるでしょう。ところで、有料化されたレジ袋の代金を支払うのは一般消費者なのですが、具体的なメリットって何なんでしょうね。
有償化する店しない店
とはいえ全ての小売店が有償化する訳ではありません。消費者に正面から向き合う経営をしていると評判の北海道・セイコーマートは、消費者が反発しているとして無償提供を継続します。
また吉野家など牛丼チェーン各社も無償提供です。恐らくですがこちらはセイコーマートの理由とは異なり、レジで1円玉を扱うことによるコスト増を避けるためではないか思われます。
なお、以前から紙袋で提供していたモスバーガーが今後も無償なのは当たり前ですが、マクドナルドやケンタッキーなども無償継続するようです。
これは今回の有償化対象なの?対象外なの?
ところで以下の場合、対象なのか対象外なのか、皆さんすぐわかりますか?
- 卸売業者が販売店舗に商品を納入する際のプラスチック製の袋
- 紙袋にビニールのコーティングが施されている袋
- ゲームセンターの景品を持って帰るための袋
- オンラインショップで購入された商品を宅配する際に商品を入れた袋
- 詰め放題用に提供する袋
- 学園祭の模擬店で使う袋
- 雨の日に持ち帰り用の紙袋を保護するために被せるビニール
- 背広の購入時にハンガーに掛けた背広の上からかぶせるカバー
上記は経済産業省のレジ袋有料化の特設サイトのFAQから抜き出したものですが、意外とわからなかったりしませんか。実は明確に有料化の対象となるのは2だけなのです。では他は全て対象外なのかというとさにあらず…。
明確に対象外なのは1、3、5、6です。4は状況に応じて対象だったり対象外だったり。7と8に至っては「対象であるか否か一律に判断できないため、材質、形状など、ガイドラインに記載されている事項に照らし判断ください」とまさかの事業者まかせ。
まとめ
たまたま新型コロナで打撃を受けた小売業への支援?となる可能性もありますが、少なくとも小規模店舗では、手間の増加、バイオマス素材への切り替え、釣り銭の問題、レジの再設定など諸々が障害にはなってもメリットにはならない気がします。
私自身はレジ袋の原材料問題も含め、本当に必要な施策だったのかどうか疑問ではありますが、今回はここまでにしておきます。あくまでも実取材を行なっていない私見ですので、その点は予めご了承ください。
とりあえず、主であれ従であれ小売業を営んでいる方は、再度経産省のサイトで詳細を確認しておくことをお勧めします。
経済産業省:レジ袋削減にご協力ください!
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html